「ホームページは24時間働く営業マンです!」から考えるウェブ制作

ホームページは24時間働く営業マンです!

ちょっと機会があり、ウェブ制作会社のウェブサイトを調査していたのだが、その中で良くでてくるフレーズがあった。
「ホームページは24時間働く営業マンです!」というものだ。

ウェブサイトは24時間閲覧することができるし、そこから仕事に繋がる問い合わせが発生することもあるので、そのようなフレーズを使うのだと思うのだが、どうにも違和感がありしっくりこない。

ウェブサイトは基本的に動的に働きかける性質のものではなく静的に存在するものなので、営業マンのように自ら「営業をかけに」いくようなことはない(もしウェブサイトが自動的に適当なメールアドレスや掲示板なんかに「飛び込み営業」したら、それはむしろ炎上もので、そんなウェブサイトは使えない)。そこに訪れた人にサービスを提供したり、疑問に答えたりすることがウェブサイトの本質であるのだから、営業マンというよりは、販売員とかカスタマーサービスのほうが正しい表現になるだろう。

とはいえ、CRMを用いた顧客へのフォローやメールマガジンの配信など、動的に働きかける性質のウェブサイト(サービス)も存在する。登録者や希望者に、主にメールを用いて「営業をかける」類のものだ。しかし、「ホームページは24時間働く営業マンです!」というフレーズを使っているのはいわゆる「格安ホームページ制作会社」に多いわけで、プラン内容をみてもCRMのような高度なシステムを販売しているわけではなさそうである。

格安ホームページ制作会社のサービス内容

そのような「格安ホームページ制作会社」のサービス内容を見てみると、デザイン→クライアントからの原稿をもとにコーディング→納品というものが多い。ここでも違和感を感じたのだが、クライアントから提供してもらった原稿をそのままコーディングしてウェブサイトにしたところで、それが本当に「24時間働く営業マン」になり得るのだろうか。

現在のウェブは「Contents is king」といわれるとおり、ソーシャルメディアでも検索エンジンでもコンテンツの質が重要視されている。もはや小手先のコーディング技術だけではSEOは成り立たず、いかに質の良いコンテンツを作り、人々に支持されるかが大切だ。ウェブページに掲載する「文章」はできる限りわかりやすく、深く、人々を引き付けるものでなければならないわけで、クライアントから提供された原稿をそのままコーディングしてウェブサイトにしても、それが「24時間働く営業マン」になる確率は非常に低いと言わざるを得ない。最低でも提供された原稿を推敲し、魅力あるタイトルやキャッチコピーをつける程度のことはしないといけない。

「格安でやるのだから、そこまでやると割に合わない」ということは当然考えられるが、削るべきはコンテンツ部分以外であるべきだ。ではそれはどこかと言えば、僕はデザイン部分ではないかと思う。FC2やLivedoorなどのレンタルブログ、かつ、オリジナルでない「テンプレート」のデザインを利用していても月に数万PVを集めているブログも存在する。やはりウェブは「Conents is king」の世界なのだ。

どうしても価格を抑えるのであれば優先順位を付ける必要があり、まずはコンテンツの質が第一なのであるから、デザインはテンプレートを利用するようにしたり、そもそもウェブサイトを制作しないでFacebookページやレンタルブログで代用しても良いだろう。

もちろんデザインに価値がないとは全く思わない。むしろ、そこまでコストをかけ、計算されたウェブサイトを作ることが、本来は正しい形であると思う。

まとめ

近年ではウェブ制作に関する情報はウェブ上でも簡単に手に入るようになったし、制作ツールも充実して「誰でも簡単にホームページが作れる」ようになったことは事実なので、ウェブサイトにかける費用が低下するのも当然だとは思うのだが、「本当に効果が出るのか」というところまで考えていない人は制作会社にも依頼者にも少なくないと思う。どこに頼んでも同じだろうと価格だけで決めるのではなく、その制作会社に任せて本当に効果が出るのかという点を良く検討して依頼することをお勧めしたい。

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この記事を書いた人

キタジマタカシ

長崎在住、フリーランスのWordPress テーマ / プラグインデベロッパー。 多数のプロダクトをオープンソースで開発・公開しています。現在は WordPress 有料テーマ Snow Monkey を開発・販売しています。