武雄市WebサイトのFacebook移行についてよくある批判の考察

2011年8月1日、武雄市WebサイトのFacebook完全移行が行われた。武雄市のFacebookページに書きこまれたコメントには好意的なものが多かったのを覚えている。正直なところ、当初はどうせそのときの思いつきで、なんとなく面白いし目立ちそうだからやっちゃいました的な感じだと思っていたのだが、今日「「2ちゃんねるで叩かれていた」――Facebookにはまり続ける武雄市長の“野望”とは」という記事を読んでかなり印象が変わった。意外にしっかり考えられているなと。だが、ブコメやTwitterでの反応を見ていると、大して記事を読んでいなかったり、間違った認識を持ったまま非難している方が散見されたので、そのあたりに関する記事を書いてみた。

Webサイトを閉鎖するなんてやりすぎだ!

少し調べればわかることだが、武雄市のWebサイトは閉鎖なんてしていない。Googleで検索すると、1番目に「佐賀県武雄市」としてhttp://www.city.takeo.lg.jp/が表示される(Facebookページは2番目)。ページを開いたときに、今後Facebookに移動して武雄市Webサイトを見るか、移動せずにそのまま見るかの選択肢が表示される。そこで移動しないを選択すればFacebookに移動せずにWebサイトを見ることが出来る。ただ、表示される内容はFacebookページで見れるものと同等なので、あえて移動せずに見る必要があるのかはわかないが…。

Facebookのアカウントがないと見れないなんて!

いまだにこんな意見で批判している人がいて驚いたが、FacebookページはFacebookのアカウントを持っていなくても普通に見ることができる。いいねを押したりコメントを書き込んだりすることはできないが、通常のWebサイトを見るのと何ら変わらない情報を得ることができる。

Facebookは情報がどんどん流れていってしまうのでポータルには不向き!

確かに、武雄市のFacebookページにアクセスしたときに最初に表示されるのはウォールとなっているので、書きこまれた情報はどんどん流れていってしまう。しかし、左側にあるメニューから見れるコンテンツは静的なものであり、流れていってしまうような情報ではない。ちなみにこのコンテンツは通常の武雄市のWebサイトをiframeで表示したものであり、フローとストックはきちんと役割分担されているので、不向きとは言えないだろう。Twitterなら明らかに不向きだが…。

Facebookのサーバーが落ちたらどうする!

これは僕も当初思っていたのだが、よくよく考えるとFacebookのサーバが落ちるのと、そこらのホスティングサービスや自社サーバが落ちるのとではどちらが確率が高いのだろうか…。Facebookレベルになればサーバ台数なんてそれこそかなりのもので、負荷対策もしっかりされているだろうし。ちなみに、aguseで武雄市Webサイトのサーバ情報を調べてみると、NTTコミュニケーションズが管理している…らしい。NTTコミュニケーションズのホスティングサービスは、流行りに乗って始めたクラウドサービスがたちまちサービス休止になったり、VPSサービスがバージョンアップしたとたん激重になったり、となかなか怪しいのであまり使いたくはないです。

Facebookのサービスが終了したらどうする!

これもよく見る意見だが、所詮、コンテンツはFacebookのiframe内にhttp://www.city.takeo.lg.jp/の情報を表示させているだけだし、Googleで検索したときはhttp://www.city.takeo.lg.jp/が一番上に表示されているのだから何の問題もないでしょう。まぁ、表示幅がFacebookに最適化されているので狭めですが、それはFacebookで表示されている今現在も同じ事なので。

Facebookに移行ではなく、CMSにすれば良い

これはごもっともな意見だけど、コンペなり入札なりで業者に依頼した場合、相当な金額になることが予想できる。今の武雄市のFacebookページの使い方を見ていると、ウォールにはどんどん情報を流している(更新している)けど、そちらはあくまでユーザとのコミュニケーションを目的に利用されている感じで特にコンテンツ管理が必要な情報ではないようだし、その他のコンテンツは静的ページとなっている。なので、わざわざサイトにCMSを導入するなんて大げさなことはもとから考えていないんじゃないかなと。ちなみに、武雄市Webサイトのソースを見ると、整ったコードで記述してあり、職員がビルダー的なもので更新しているわけではないと思われる。もしかしたらすでにCMS導入済み?だったりして…。

とはいうものの…

それなりに弊害はあるとは思う。Facebookページのコンテンツ幅は500px程度と、現在のWebサイトの標準的な表示幅と比べるとかなり狭く、使い勝手や見やすさはお世辞にも良いとは言えないし、サイドバーに行政と全く関係のない広告が常に出ているというのはいかがないものか、など。だけどインタビュー記事を読んでみると、移行した目的とかWebサイトのあり方、今後のビジネスモデルなんかにも触れられていて、よく考えられていることが伝わってくる。すべての自治体でこのモデルがうまくいくとは思えないけど、武雄市のようにWebに積極的なところが飛び込んでそれなりに成果を出しているというのはかなり意味があることではないかと思う。今後の動向にも注目していきたい。

おまけ

こんなのも作ってた。スゴいな…。

  • 武雄市MY図書館(iPad向けの電子図書館アプリ)
  • F&B良品(記事でも紹介されていたショッピングサイト。まだ商品は少ないが、各商品の紹介も丁寧で、動画まで掲載されている。)
  • ブックマーク
  • Feedly

この記事を書いた人

キタジマタカシ

長崎在住、フリーランスのWordPress テーマ / プラグインデベロッパー。 多数のプロダクトをオープンソースで開発・公開しています。現在は WordPress 有料テーマ Snow Monkey を開発・販売しています。